微かな衣擦れの音と共に、衣が滑り落ちた。
揺れる灯が、白い肌を照らし出す。
五十路に達した身とはとても信じられぬ豊満な裸身。
胸の膨らみの微かな垂れぐあいも、逆にその豊かさ故かと感じさせる。
見とれていた三条は、ふいに脱ぎかけていた衣の襟を掻き合せた。
己の貧弱なる乳房を恥じるように、両手を胸の前に置く。
その手を、白い指が捕った。
「・・・お北様」
恥らう三条の口に、大井夫人の柔らかい唇が重なった。
咄嗟に歯を食い閉めて抗うが、襟を掻き分けた手が乳房を捉えるや、堪らず喘ぎ声を漏らした。
その一瞬の隙を衝いて、大井夫人の舌が侵入する。
逃げ惑う三条の舌を絡め捕るや、思うが侭に堪能する。
そして、その間も、大井夫人の指先は三条の胸を揉み、乳首を弄び続ける。
やがて、顔を離した義母を、とろりと焦点の定まらぬ目つきで見上げる三条。
大井夫人は彼女を愛しげに見つめると、ゆっくりと衣を脱がせていく。
夢うつつの三条は逆らわず、たちまちのうちに生まれたままの姿に剥かれたが、
「・・・お北様、はっ!」
ふいに正気に戻ると、慌てて両の掌で胸を隠した。
「ふふふ、可愛らしいですよ・・・」
笑みを浮べた大井夫人が、その掌を押し退けて、乳首を口に含んだ。
そして、彼女の左手はもう片方の乳房をやさしく揉み解し、右手の指は、三条の股間で滑る玄門にゆっくりと忍んでいく。
「はっ・・は・・・、はうっ、はぁう・・・」
三条の喘ぎが、次第に大きく、早くなっていく。
揺らぐ灯の下、裸身を絡めあう、甲斐国主武田晴信の母大井夫人と正室三条夫人。
二人の姿を、ただ仏像の微笑だけが見下ろしていた。
<おわり>